では、全店舗で統一していることはどのようなことでしょうか。
その問いかけに、「リテイルミルクセンターの経営方針」に掲げる3つのポイントについてお話しいただいた。
ひとつは、営業目標としての数値。もうひとつは、お客さまに健康をお届けする社会的使命としての理念。そして最後の1点は私も大いに共感した重要なポイント、「基本の徹底と変化に対応できる会社」というもの。
一般的にどこの明治の宅配店でも挨拶の仕方や商品説明などのトレーニングは行っている。リテイルミルクセンターでも、そうした基本動作のトレーニングを行っているが、お客さまとのかかわりを意識したうえでの基本の徹底というところが非常にユニークだ。
「私たちの仕事は配達業務ではなく、接客業なんですよ」という。
つまり「配達を行う」という視点では、挨拶や受け箱の清掃は形としての行動となる。しかし「接客を行う」という視点になると、商品のお届けにあがった際にお客さまに会えなくても、受け箱に向かって「いつもありがとうございます!」と声をかけ、お客さまに思いが届くように受け箱の清掃を行うというお客さまへの気持ちで行動が出来る。
そうした心持で基本の徹底を全店舗で展開していることが、リテイルミルクセンターの強みとなっているようだ。つまり各センター長は木村社長の掲げる経営方針を自店舗の状況に合わせ、単なる掛け声にならないよう、各スタッフに適したモチベーションを上げる方法を考えながら実施しているという。
その他、ご不在のお客さまに配達スタッフが受け箱にメモを入れるというコミュニケーションも、印刷したメッセージやひとことメッセージではなく、手紙に近いような文章を手書きで書いているという。
まさに思いがしっかり届く取り組みだ。その表れとして、お客さまの解約率が明治の宅配店の中でも群を抜いて低いのも納得できる。
センター長に他にどのようなコミュニケーションの取り組みをされているか伺ってみた。
「静岡はグランドゴルフが盛んな地域なので、リテイルミルクセンターでは年に4回ご契約いただいているお客さまに向けて実施しています」
その運営も順位を競うものではなく、健康イベントとして参加することが楽しめるようにすることで毎回150名にもなる一大イベントになっているという。
また、お客さまへ毎月配信している「ハッピーみるく」というコミュニケーション誌を拝見させていただいた。冒頭の木村社長のメッセージ以外はすべて、手書き!
内容も季節の健康管理の話やレシピ、クイズなど読んでいて飽きさせない工夫が随所に。
今ではいろんなところで行われている「ポイント制度」も14、5年前から取り入れているという。
そうした様々な取り組みやサービスの話を伺っていると社長の仰った「変化に対応する会社」という言葉がよぎる。
お客さまの嗜好や世の中の流行などは刻々と変わってくるもの。
それに合わせていく風土がリテイルミルクセンターには定着しているようだ。
最近「健康寿命」という言葉をよく耳にする。
介護などを受けずに、自立した生活ができる生存期間のことだが、静岡はその健康寿命が日本一。
つまり健康に対するモチベーションの高いお客さまばかり。
そのお客さまに対して健康をお届けし、継続していただくにはレベルの高いコミュニケーションとサービスが要求されるはず。
それに応えているリテイルミルクセンターは、これからも健康寿命日本一のお客さまを満足させ続けるに違いない。
取材:営業コンサルタント/村山 哲治