食を知る

Talk4「田中壮一郎先生と語る食育最前線」

今回のゲストは元文部料学審繊官で、現在は国立青少年教育振興機構の理事長を務められている田中壮一郎先生。青少年教育のエキスパートでいらっしゃる先生と、子どもたちの食と生活に関するお話をお届けします。

プロフィール紹介

鈴木みゆき先生

鈴木みゆき先生

和洋女子大学人文学群 心理・社会学類 人間発達学専修 こども発達支援コース 教授/「子どもの早起きをすすめる会」発起人/医学博士

保育者養成に深くかかわりつつ、子どもの生活リズムの乱れ(特に睡眠)に早くから着目し、保育現場を中心に調査研究を行ないつつ、全国の保育者、保護者に子どもの生活リズムの改善を勧めている。著書多数。

ゲスト紹介

田中壮一郎先生

田中壮一郎先生

独立行政法人国立青少年教育振興機構理事長。1973年文部省入省。文部科学省スポーツ・青少年局長や生涯学習政策局長、文部科学審議官などを歴任。2006年に制定された教育基本法の改正に尽力し、「早寝早起き朝ごはん」運動の立ち上げ時の行政責任者でもある。現「早寝早起き朝ごはん」全国協議会副会長。

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「早寝早起き朝ごはん」運動の始まり

鈴木みゆき先生田中壮一郎先生

鈴木子どもたちの健やかな成長を目的に2006年に始まった「早寝早起き朝ごはん」運動。これほど広く認知され、朝食をとる子の数も増えたのは、最初に国が政策として打ち出した点が大きいと思うんです。なぜ国がここまで力を入れたのか、運動の発起人である理事長、ぜひ教えてください。

田	中僕は文科省時代はずっと教育改革に取り組んでいたんですが、スポーツ・青少年局長になった2003年に子どもの体力調査のデータを見て、1985年頃から2003年くらいまで体力がどんどん落ちていることに気づいたんです。これは体力向上策を打ち出す必要があると思って、そのためには運動、睡眠、食事が大事だろうと考えていたんですね。その翌年、生涯学習政策局長に移った際、立命館の陰山英男先生が「早寝早起き朝ごはん」をご自分のクラスの生徒に実践させて、百ます計算をさせたところ、学力も体力も上がったということを中央教育審議会で発表された。これだ!と思ったんです。

鈴木そうでしたか。文科省は子どもの体力低下の実態を把握して、危機感を持たれていたんですね。

田中そして、反省もしていました。25年も教育改革と言い続け、受験戦争や偏差値教育の問題に取り組んできていたのです。その陰で体力が低下し続けていたんですから。さらに、1998年頃になると学級崩壊が全国的に見られるようになるんですが、調査によると、学級崩壊の出現率は小学1年生から6年生まで学年で差がなかった。つまり1年生でも多く起きているということは、小学校に上がる前の環境にすでに問題がある可能性があるのではないかと考えました。

鈴木そうなんですか!幼児期の子育てが深く関わっているということですか。

田中はい。ただ僕は、子どもの教育は家庭の問題だけではなく、昔のように地域の大人ももっと関心を持って欲しいと思っているんです。それで「早寝早起き朝ごはん」を国民運動として広く展開できないかと考えて、PTAの方々に中心になっていただきました。多くの団体も連携してくださって、有馬元文部大臣に会長になっていただき、全国協議会が立ち上がり、運動の実施母体になりました。国はあくまでそれをサポートする立場としてスタートしたんです。

鈴木でも、発足までにはご苦労もあったのではないですか?

田中苦労ですか?うーん、特に思いつかないですね。ただ最初は、省内や財務当局、与党、野党といろいろなところで「早寝早起き朝ごはん」運動をやりたいと言うと、怪訝な顔をされたり笑われたりしましたけど(笑)。中には家庭内の問題なのになぜ行政が?というご意見もありましたが、実情を説明すると、国をあげて取り組まなければいけない時代かなと納得してくださって、予算も付けていただきました。

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