食を知る

Talk2「『食語』〜食のコトバが持つ力〜」

うまうま。もぐもぐ。乳幼児への声かけに始まり、食事中の会話は子どもの成長と何か関連があるのでは?と考える鈴木先生。今回は食にまつわる言葉『食語』を研究されている早川文代先生をゲストにお招きしました。対談は日本の食事情を考えるトークにまで展開しました。

プロフィール紹介

鈴木みゆき先生

鈴木みゆき先生

和洋女子大学人文学群 心理・社会学類 人間発達学専修 こども発達支援コース 教授/「子どもの早起きをすすめる会」発起人/医学博士

保育者養成に深くかかわりつつ、子どもの生活リズムの乱れ(特に睡眠)に早くから着目し、保育現場を中心に調査研究を行ないつつ、全国の保育者、保護者に子どもの生活リズムの改善を勧めている。著書多数。

ゲスト紹介

早川文代先生

早川文代先生

お茶の水大学大学院博士課程終了。小田原女子短期大学助教授、上海水産大学客員副教授を経て、現在は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所の主任研究員として、調理科学、官能評価学を専門に研究。著書は「食語のひととき」「食べる日本語」(いずれも毎日新聞社)。

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赤ちゃんも食の官能評価をしている!?

鈴木みゆき先生早川文代先生

鈴木早川先生は食の言葉「食語」の第一人者でいらっしゃいますが、どうしてそのような研究をされるようになったんですか?

早川大学の卒論で官能評価をテーマにしたのがきっかけです。官能評価というのは、見た目や匂い、音、香り、手触りといった人の感覚をセンサーにして食べ物の特徴を測定する手法です。大学院生になってもう少し本格的に研究したんですが、評価する時にどういう言葉を使うかが肝心になるので、官能評価に使う言葉の定義をしていこうと考えたんです。そうしたら思っていたよりも奥が深くて。大変なことでした(笑)。

鈴木面白いですね。その深い言葉についてこれからいろいろ伺いたいと思いますが、そもそも官能評価って、それこそ赤ちゃんの頃から自然にやっていますよね?お母さんの母乳の匂いがわかると言いますし、心理学の研究でも苦い水を飲むと嫌っていう顔をしたり、吐き出したりするようですから。

早川そうですね。赤ちゃんなりの官能評価を。

鈴木私もよく子どもに嫌なものをベーッて出されましたが、先生はいかがですか?お子様は1才半だそうですが。

早川やられてます、ベーッて。特にワカメみたいにペロペロするのは嫌いみたいですね。

鈴木うちは最初は口から出すだけだったのが、しばらくしたら、出した後でこっちを見てニヤッと笑うように。

早川うちの場合はもっとすごいですよ。お皿を頭にかぶる!そしてやっぱりニーッと笑う。

鈴木あははは。それはすごいわ。でもきっと子どもは話せないなりに「自分は嫌なんだ」という自己主張をして、自分の感覚を相手と確かめながら育っていくんでしょうね。やっぱり「食」ってすごい!生きる基本だと思います。

早川そうですね。おっぱいを吸うのは本能だけれど、噛むのは学習によって獲得すると言いますしね。私も母親として食事の環境は大事だと感じます。

鈴木ところで先生は言葉の専門ですが、「かたい」とか「やわらかい」って人によって感覚や基準が違いますよね。

早川そうです。例えば、お肉の「かたい」とリンゴの「かたい」では意味しているものが違いますし、牛乳の「滑らかさ」とクリームの「滑らかさ」でもきっと違うでしょうね。また、最初に噛んだ瞬間の「かたさ」なのか、それとも噛み締めた時の「かたさ」なのかという違いも。単純に機械で測定できないのが食感の難しいところです。

鈴木でも、食品のコマーシャルなんかで「まろやか」という表現をよく聞きますが、私たちは違和感なく受け止めています。

早川この食べ物の範疇だったら「こういう感じだな」というおおよその感覚が私たちにあるからでしょうね。日本人はそれがわりと一致しやすいんだと思います。

鈴木それはなぜですか?

早川食習慣とか食経験のバックグラウンドが近いという点がまずあると思います。あとは言語の問題で、私たちは擬音語や擬態語を良く使いますね?たとえ自分が食べたことのない食品でも「ホロッとしている」と聞けば、なんとなくイメージができてしまう。つまり、擬音語や擬態語は言語としての強力な伝達ツールになっているんです。

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