食を知る

10月 実りの秋は、おいしい秋

秋と言えば「食欲の秋」。何を食べてもおいしくて、毎年ウェイトオーバー気味!という人も多いかもしれませんね。逆に、夏の疲れがいつまでも残っている感じで食事がいまいちおいしくない…、という方もいらっしゃるかもしれません。慢性疲労は食生活の乱れが原因のことも多いのです。そんなときは毎日の食事をちょっと見直してみましょう。同じ野菜でも旬の野菜を食べていますか?魚も、果物も、旬のものはおいしいだけでなく、栄養価も高いのです。

食べ物の「旬」を知っていますか?

秋においしくなる野菜を知っていますか?さつまいも、里芋、ジャガイモなどの芋類、しいたけ、舞茸などのキノコ類、ごぼう、れんこん、などの根菜類。これらはみんな秋が旬の野菜です。松茸や栗のように、秋にならないと姿を見せないものは、秋が旬だと誰もが知っています。けれども、1年中見かける野菜や果物の中にも、実は秋がいちばんおいしい、というものもあります。タマネギやニンジンといった野菜もそうです。トマトやキュウリ、ピーマンなどは夏の野菜、というイメージですが、秋になった今も、そして冬も春も、店先には1年中普通に並んでいます。ブロッコリーも実は秋の野菜なのです。しかし、今では輸送や冷蔵技術などによって1年手に入るようになりました。冬でも生のトマトが食卓に並んだり、夏でもブロッコリーが食べられたり、私たちの生活から「旬」の感覚はどんどん失われていきます。
買い物に行ったとき、献立を考えるとき、あるいは食材を手に取るときに、ちょっと考えてみてください。これって旬の食べ物?違うとしたらほんとうの旬はいつ?

旬の食べ物はカラダにもおいしいのです。

食材の旬というのは、最も多く収穫できる時期。市場にたくさん出回ることで価格的にも手頃になります。そして最もおいしい時期。それだけではありません。旬の時期に栄養価も最も高くなるのです。たとえばホウレンソウ。ビタミンCの量を見てみると、夏のホウ レンソウは冬に取れるホウレンソウの1/3しか含まれないのです。冬のトマトは、夏のトマトの1/2になってしまいます。温室育ちの冬のトマトと、まぶしい夏の太陽をたっぷり浴びた路地栽培のトマト。その味の違いは、誰にでもわかるように、旬の作物は、自然のサイクルによって育った作物の最も自然な味を表しているのです。そして味だけでなく栄養価も季節によって違ってくることは、栄養士さんや調理士さんが献立を考えたりするときに使う「日本食品標準成分表」にもはっきりと記されています。
四季のある日本で生活する私たちにとって、季節ごとの旬の食べ物は栄養価の面以外にも、カラダの健康のリズムと密接な関係があるのです。たとえば、夏の野菜には、ほてったカラダを冷やす作用や、暑さで奪われたビタミンCを補給する役目を持っています。秋には冬に備えて脂肪の多い木の実や魚が旬を迎え、夏に弱った胃腸の調子を整えてくれるやさしい作用の野菜がおいしくなります。冬にはカラダを温める作用のある根菜が豊富になります。

旬を楽しもう。

庭やベランダで、好きな野菜を育ててみるのもよいでしょう。いつも食べている野菜がどんなふうにできるのか、どんなふうに大きくなるのか、観察するだけでも子どもたちには大きな収穫です。野菜に旬があるのも自然にわかり、なにより自分で育てたものを食べるのは楽しいものです。

スーパーには1年中同じような食材が顔を揃えている現在、子どもたちに食べ物の旬を教えようと思ってもなかなかままなりません。旬以外の食べ物もいつでもバラエティ豊かに揃うということは、一見豊かなことかもしれません。でもそれは一方で、旬の時期を待ちわびる、という楽しさを放棄してしまった生活でもあります。「まだかな、もうすぐかな」と旬の時期を待つ時間は、おいしいものをさらにおいしくいただくためのもうひとつの調味料でもあります。季節ごとの食べ物が、カラダのリズムを取り戻させてくれる、ということは、自然から遠く離れて暮らしている私たちも、実は自然の大きな流れの中で生きているのだ、ということを思い出させてくれます。まずは大人が改めて食べ物の旬を知ること。そして、高い栄養価を得るためにも旬のものを選んで食べることは、食卓に、そしてお店に、ひいては畑に旬を取り戻すための小さな、でも大切な積み重ねではないでしょうか。
スーパーには日本だけでなく、海外からの輸入食品もたくさん入ってきます。もうすっかりおなじみになった国産よりも価格の低い輸入野菜ですが、栄養価の面でも国産よりも低いという傾向があります。理由としては、国産なら1〜3日で店頭に並ぶところ、輸入野菜は税関の検査などで1週間ほどはかかります。その間に栄養価が減ってしまうようです。ホウレンソウのビタミンCを例にとると、収穫から3日後には約70%に、7日後には55%にまで減少してしまうという結果もあります。

環境に負担をかけない食べものを選ぼう。

季節はずれの野菜をつくるためには、温度などを調節するエネルギーが必要です。たとえばトマト1個をつくるのに、ハウス栽培では露地栽培の10倍ものエネルギーが必要だといわれています。これらは、私たちが暮らす土地のもの、そして旬のものを食べていれば、使われずにすむのです。また、最近ではどこでも手に入るようになった京野菜ですが、伝統的に作られてきた京都で育てられるものの方が、それ以外の地域で育つものより栄養価が高いことがわかっています。一方で、自分たちの暮らす地域で生産されたものを食べよう、という「地産池消」ということが言われています。これは経済的な理由だけではなく、次代の子どもたちに残す地球に負担をかけない生き方を選ぶ、という大きな視点に立っても正しい選択だと言えるのではないでしょうか。近所に畑があったら、そこで何が作られているか覗いてみてください。そして買い物に行ったとき、ぜひ探してみてください。できるだけ身近な地域で採れた、旬の食材。それがカラダにも地球にもおいしい恵みの食べ物なのです。

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