2月(如月/February)『貝』

貝は、栄養もうま味も豊富で、大昔から世界各地で食べられています。たくさんの種類があり、姿形も味わいもさまざまです。

身近な種類が多い二枚貝、らせん状の貝殻の巻貝

私たちが食べる貝には、二枚貝と巻貝があります。二枚貝はその名の通り2枚の貝殻かいがらをもつ貝で、あさり、しじみ、はまぐり、ほたて、かきなど、身近なものがいろいろあります。
巻貝は、らせん状になった貝殻かいがらをもつ貝で、さざえ、ばい貝、つぶ貝などのほか、あわび、とこぶしも巻貝の仲間です。
また、日本では縄文じょうもん時代の昔から貝を食べていたことが、各地にある貝塚かいづか(食べた貝のからを捨てた場所)からわかっています。貝塚かいづかは海外でも各地で見つかっていて、地球の地殻ちかくの動きや当時の人類の生活を解明するかぎの1つになっています。

あさり(左奥)、しじみ(手前)、はまぐり(右奥)

二枚貝の仲間

あさり(左おく)、しじみ(手前)は昔からみそしるの具としておなじみです。
はまぐり(右おく)はひな祭りの吸い物によく使われます。

かき(左)、ほたて(右)

かき(左)は世界各地の海の沿岸の岩場などで育ち、栄養豊富で「海のミルク」とも呼ばれ、新鮮しんせんなものは生でも食べられます。
ほたて(右)は水温の低い海の砂泥さでいで育ち、中央の大きな貝柱にうま味と甘味あまみがあります。どちらの貝も養殖ようしょくさかんです。

巻貝の仲間

巻貝の仲間

さざえ(おく)、あわび(手前)は、どちらも海の浅い岩場で育ち、コリコリした食感といその香りが特徴とくちょうです。あわびの貝殻かいがらは平らに見えますが、巻貝の変形です。高級な食材として知られています。

あさりは海の干潟で、しじみは湖や川でとれる

貝の多くは海で育ちます。おなじみのあさりは、海辺の、潮の満ち引きで現れたりかくれたりする干潟ひがた砂泥さでいの中にすんでいます。春から初夏のころ、各地の干潟ひがたで、あさりなどの貝をとる「潮干狩しおひがり」の風景がよく見られます。
しじみは湖や川でとれますが、一般いっぱんによく売られているやまとしじみは、海水と淡水たんすいが混ざり合ったうすい塩水の「汽水域きすいいき」でとれます。

潮干狩りの風景
潮干狩しおひがりの風景。地域によって、はまぐり、刀のような形の
まて貝などいろいろな貝がとれます。

貝殻はアクセサリーや工芸品にもなる

貝は身を食べるだけでなく、貝殻かいがらも昔からアクセサリーやインテリア、工芸品などに使われています。宝石の真珠しんじゅは、あこや貝などのからの中で作り出されたものです。からの中に小さな砂や虫などが入り、それを貝殻かいがらの成分が長い年月をかけて層を重ねるようにおおい、丸くなったものです。これがきれいにかがや真珠しんじゅ玉になります。
貝殻かいがらは古代中国ではお金として使われました。「買う」「貸す」などの漢字に貝の字が使われているのは、その名残なごりです。

真珠の採取
真珠しんじゅの採取。日本は真珠しんじゅ養殖ようしょく技術を開発したことで知られています。

貝には栄養もうま味もたっぷり

貝には、貧血を防ぐビタミンB12や鉄、骨を強くするカルシウムのほか、亜鉛あえん、マグネシウムなどの栄養がたくさんふくまれています。特に二枚貝に豊富です。
また、コハク酸やグルタミン酸などのうま味もたっぷりふくまれています。みそしるやスープ、パスタソースなどは、貝から出るうま味のあるしる一緒いっしょに食べられます。かきやほたては、フライやグラタン、からつきならからごとあみで焼くのもおいしい食べ方です。貝は鮮度せんどが落ちやすいので、新鮮しんせんなうちに調理して食べることが大事です。

冬の野菜
しじみやあさりのみそしるは、だしを入れなくても貝のうま味でおいしく作れます。貝は塩分が多いので、味つけはうすめにします。
貝の網焼き
からごと焼くと、いその香りが格別です。

貝の砂抜きをしてみよう!

あさりなどの貝は、料理の前に砂をかせる「砂き」をします。貝をバットなどに重ねないように並べ、塩水(水1リットルに塩約20g。しじみの場合はうすい塩水か真水)をひたひたに入れ、新聞紙などを軽くかぶせて暗く静かな状態にして数時間(潮干狩しおひがりでとった貝なら5~6時間)おきます。こうして貝がすんでいた環境かんきょうに近づけると、水管という器官から砂混じりの水をピュッとき出します。水が飛ぶので、周囲に新聞紙をくとよいでしょう。

貝の砂抜きイメージ

貝のうま味と牛乳のまろやかさが口に広がる はまぐりと菜の花のミルク茶わん蒸し

はまぐりと菜の花のミルク茶わん蒸し

はまぐりをにし、うま味の出たしると牛乳、卵を混ぜて茶わんしにします。