食を知る

2月 親子で見直そう!生活習慣|食コラム

「生活習慣病」とはその名のとおり、生活習慣が原因でおこる病気ですが、今や大人だけでなく、子どもにも身近なものです。これを防ぐためには、食生活をはじめとする子どもの頃からの習慣がとても大切。この機会に大人も子どもも日頃の生活習慣、見直してみませんか?

「生活習慣病」ってそもそもどんな病気?

「生活習慣病」という名のひとつの病気があるわけではありません。糖尿病・高脂血症・高血圧・高尿酸血症など、生活習慣が主な発症原因であると考えられている疾患の総称なのです。これらの疾患は虚血性心疾患・脳卒中などの原因となり、最悪の場合死にいたることも。食生活、運動習慣、喫煙や飲酒など、毎日の生活習慣の積み重ねが、死に至る恐ろしい病気を引き起こす大きな原因になる、ということなのです。
ご存じのように、脳卒中、ガン、心臓病は日本人の死因の上位を占める病気です。これらはかつて3大成人病と呼ばれ、40〜60歳の働き盛りに多い病気とされていました。しかしその後のさまざまな研究から、これらの原因は長年にわたる生活習慣(食事、運動、肥満、喫煙、飲酒など)が深く関係していることがわかりました。1996年、当時の厚生省(現 厚生労働省)は、ガン、心臓病、肝臓病、糖尿病、脳血管疾患、高血圧症、高脂血症などのそれまで「成人病」と呼ばれていたものを「生活習慣病」と改称することに決めました。その人の生活習慣によっては、どんな年代でも発症しうる生活習慣病。
その予防のためには、疾患のもとをつくらない、正しい生活習慣を身につけることが必要です。特に食生活を中心とする健康な生活習慣を身につけるためには、子どもの頃から気をつけなくてはならいことがわかってきたのです。

大人の習慣は=子どもの習慣になる

日本の小学生の約1割が肥満状態にある、といわれる現代。当然、子どもの生活習慣病も増えています。中でも多いのが糖尿病と動脈硬化。これらの主な原因は食生活と運動習慣の変化です。日々の食生活で、脂肪分や糖分を摂りすぎているうえ、体を動かす機会がぐっと減っているのです。今はまだ発病していなくても、このままの食生活や生活サイクルを続けていれば、20代、30代で発病する可能性はどんどん大きくなってきています。見た目には肥満でなくてもコレステロール値の高い、糖尿病・動脈硬化の予備軍の子どもたちは着実に増えています。大人と同じような健康上の問題が、子どもたちの上にも影をさしているのです。
糖尿病や高血圧、心臓病など、中高年になってから親と同じ病気を発症する人は多いのです。この理由は遺伝的な要素も少なからずありますが、遺伝子としての原因よりも、病気を引き起こす生活習慣を受け継いだことも原因のひとつなのです。日本人に多い大腸ガンの原因は遺伝的因子よりも環境的因子(動物性たんぱく質の摂取量が増えたことなど)の比重が大きいとされていますが、環境的因子とはつまり生活習慣。食生活をはじめとする子どもの頃の生活習慣は、その先の一生の健康を左右する重要な問題です。
しかし、親から引き継ぐ生活習慣とは食生活だけでしょうか?子どもが肥満の場合、親も同じように太っていることが多いのですが、その理由は家庭の食生活だけでなく運動習慣にもあります。食べてはゴロゴロ、といった親の姿を、子どもたちはちゃんと引き継いでしまうのですね。

生まれる前から始まってしまう!?生活習慣病

子どもの肥満は3歳までに決まる、といわれています。これは、決まった時間に食事をしない、甘い飲み物を摂る、野菜をあまり食べない、スナック菓子を食べ続ける・・・などなど、肥満の原因になる習慣が3歳までにしっかりついてしまう、ということ。つまりその習慣によって3歳までに肥満となる体質が決定してしまうという、ということでもあります。さらには、生活習慣病になる因子の約7割は、お母さんのお腹にいるときに決定してしまうと言われています。原因は、妊婦の時期のダイエット。生活習慣病とは、肥満に象徴されるように栄養分を過剰に摂取することによって起こる病気、つまり「贅沢病」というイメージがあり、実際に栄養の過剰摂取は多くの生活習慣病の原因になります。しかしそれとは反対に、親の“過剰なダイエット”も同じように子どもの健康を損ねるのです。アメリカやイギリスには、生まれたときに小さかった赤ちゃんは、生活習慣病を発症するリスクが高いという調査結果があるのです。妊娠中の体重制限は近頃よく言われていることですが、お母さんが必要以上にダイエットをすると、お腹の中の赤ちゃんは低栄養状態にさらされます。すると赤ちゃんは少しの栄養で生きて行くための代謝適応を始めます。こうした特殊な代謝適応は生まれた後も持続して、肥満や生活習慣病になりやすくなってしまうのです。 3歳までの重要な時期はもちろん、それ以降の成長期も、ましてやお腹にいる胎児期から・・・。子どもたちの未来の健康のための生活習慣は、大人たちにゆだねられているのです。

親子で始めよう!健康な生活習慣

“習慣”とは、長年の生活の中で繰り返し行われ、慣れ親しんだ行動。そう簡単に変えられるものではありません。でも、まずは大人たちの生活習慣病予防のために、ひいては子どもの未来の健康の為に、小さなことから少しずつ見直してみませんか。
たとえば運動。普段体を動かす習慣のない人にとって「運動」という言葉はかなりハードルが高いもの。でも、毎日行っている行動にちょっとだけ負荷をプラスするだけでも変わってきます。キッチンでお料理するときに、つま先立ちになってみる。駅でエスカレーターをやめて階段にしてみる。電車でつり革につかまりながら腹筋を引っ込めてみる、など。ジョギングや水泳といった「運動するぞ!」という決意が必要なものではなく、毎日簡単にできる“ちょっとだけ運動”なら、すぐに取り入れられそうです。
運動も食生活も「絶対」とか「毎日」と決めるとなかなか続かないもの。楽しくゆるく少しずつ、まずはこれまでの間違った習慣を“自覚すること”が大切です。毎日意識することで生活はきっと変わってきます。
今は大人にとっても子どもにとっても、運動するための時間を作り出すのがひと苦労です。たとえば朝30分早起きしてみる。そして子どもを散歩に誘ってみませんか?縄跳び、キャッチボール、ラジオ体操・・・、運動の種類なんてなんでもいいのです。一緒に体を動かす時間は、たとえ15分だって、親子のとてもいいコミュニケーションの時間になるはずです。食べること、体を動かすこと、そして生活のサイクルも、生活習慣とはつまりは生き方です。大人たちが食べることの大切さを真剣に考えて、変わることで、子どもたちも自然に変わっていくのではないでしょうか。

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