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食のコラム

vol.3
食べる機能を知りましょう!

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[vol.3] 食べる機能を知りましょう!

藤谷 順子先生

国立国際医療研究センター病院
リハビリテーション科 医長
医学博士
藤谷 順子先生

今年の夏も非常に暑く、熱中症になられた方が多数いらっしゃいましたが、夏バテなどで食欲が無くなっていた方も多かったのではないでしょうか? そこで今回は、いろいろな食べ物が美味しく感じ、食欲の湧く季節、そうです!食欲の秋を迎えるにあたっての準備についてお話ししたいと思います。 いろいろな食べ物を美味しくいただくためには、まずご自身の食べる機能を確認してみましょう。(図1参照)

(図1)食べる機能:チェックポイント
  • うがいは、しっかりできてますか?
  • 口からこぼすことはありませんか?
  • ろれつが回りにくいことがありませんか?
  • 以前より食べるのに時間がかかるようになっていませんか?
  • やわらかいものばかり食べるようになっていませんか?
  • 食事中や食後に痰やせきが多くありませんか?

いかがですか?あてはまる項目の多い方は、かむ力や飲み込む力が低下している確率が高いです。

図2

では「食べる機能」っていったい何なのでしょうか?
食べる機能(摂食[せっしょく]・嚥下[えんげ])=食べ物を口に入れて噛み、飲み込み、食道から胃に送るまでの過程のこと(図2参照)を言います。この過程は、実は口の中だけでなくいろいろな部分が協調して行われているのですが、そのどこかが弱ってくることを摂食・嚥下[えんげ]障害といいます。
これによって引き起こされるのが「誤嚥[ごえん]」です。本来、噛み砕かれた食べ物は、唾液とともにまとまり、喉を通過するものですが、その際に食道と並んでいる気管(空気の通り道)の門が自動扉のように閉じる仕組みになっています。「誤嚥[ごえん]」の場合、自動扉が閉じなかったり、タイミングがずれることにより、間違って気管に食べ物が入ってしまうことをいいます。

図2

一般的には、加齢とともに気管の自動扉の閉じるスピードは遅くなりがちなので、サラサラの液体でむせることもあります。そのような時は、液体にとろみをつけたり、ゼリー状の飲料などにすることをお勧めします。
では「誤嚥[ごえん]」をしないためには、どうしたら良いのでしょうか?そのために必要なのが「食べる機能」を鍛えることです。
身近な方法としては、「歯磨きタイム」を利用する方法です。(義歯の方にも有効です!)

図A,B,C,D,E,F
水で長くうがいをする

口に水を含み「クチュクチュ ペッ!」ではなく(A)
「ブクブクブクブクブクブクブクッ ペッ!」(B)
というように!
「ブクブクブクブクブクブクブクッ ペッ!」は7回を目標に頑張ってみましょう!

図A,B

口の中に水(10〜15cc)を含み、その水を右(C)(D)、上(E)、下(F)、の4か所に動かしてみましょう!4か所にうまく動かせたら、右回り・左回りに動かしてみてください。
※ 唇から水が漏れないように頑張ってみましょう!

図C,D,E,F
図
歯磨きも有効

歯ブラシで丁寧に歯磨きすることも口の運動になります。
※ 奥歯まで2〜3本ずつを、内側・外側・噛み合わせ
  部分というように磨いてください。

図

それぞれの目的は、口の筋肉を使うこと、つまり

口を鍛える=口の運動

ということです。
毎日の歯磨きタイムもちょっと気にかけるだけで「口を鍛える」ことにつながります。
「美味しいものを美味しくいただく」ためにも是非実践し、食欲の秋を存分に堪能してくださいね!

  • vol.3 食べる機能を知りましょう!
  • vol.2 脱水予防のための嚥下[えんげ]機能の観察
  • vol.1 高齢者の脱水と水分補給

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