明治TOP > インフルエンザNavi > インフルエンザを治療する > 【インフルエンザの基礎知識】インフルエンザの吸入薬について

【インフルエンザの基礎知識】インフルエンザの吸入薬について

2015.11.24 12:00 | 吉田菜穂子

インフルエンザの吸入薬が日本で初めて発売されてから10年以上がたち、インフルエンザの吸入薬があることをご存じの方も多いのではないのでしょうか。ではどんな吸入薬があるのでしょうか。飲み薬とは違う効果があるのでしょうか。

日本で使用されているインフルエンザの吸入薬は2種類

<ザナミビル(商品名:リレンザ)>
朝2回と夜2回の吸入を、5日間連続で行います。
吸入により、喘息をお持ちの方では発作が生じることがあるため、注意が必要です。
乳糖が使用されていることから、乳製品アレルギーの方は医師とご相談ください。

<ラニナミビル(商品名:イナビル)>
持続性の効果があるので、1度の吸入(10歳未満は1容器、10歳以上は2容器)で治療が完結します。
ザナミビル同様、喘息をお持ちの方や乳製品アレルギーのある方は医師とご相談ください。

飲み薬や点滴とどう違うの?

・メカニズム
インフルエンザ治療薬の飲み薬オセルタミビル(商品名:タミフル)や点滴薬ペラミビル(商品名:ラピアクタ)と、上述の吸入薬とは、基本的に効くメカニズムは同じです。すなわち、ウイルスが増殖した細胞の外へ出て、他の細胞に感染するのを阻止する働きがあるのです。いずれの薬も、発症早期の48時間以内での使用が必要です。

・適応
吸入薬は、あまりに小さなお子さまだとうまく吸い込めず、5歳以上での使用が適切です。
また、重症化のリスクが高い方には、即効性のある点滴薬ペラミビル(商品名:ラピアクタ)の使用が推奨されています。

予防のために投与することも可能?

吸入薬と飲み薬は発症を予防するために使用されることもありますが、この場合、保険は適応されません。対象となるのは、インフルエンザを発症している方と同居しており、かつ、
1.65歳以上の方
2.慢性呼吸器疾患、慢性心疾患患者
3.糖尿病などの代謝性疾患患者
4.腎機能障害患者
などです。

インフルエンザのために高熱で苦しむ時間は少しでも短くしたいものですよね。飲み薬、吸入薬、点滴の種類にかかわらず、薬による治療が効果的であるかどうかには、発症からの時間が大きくかかわります。寒気がしたら、すぐに熱をはかり、発熱後12時間から24時間の間に検査を受けましょう。自分の身体の変化に早く気づくことが治療の第一歩になります。

吉田菜穂子

群馬大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科内科学専攻修了。東京大学医学部附属病院等で内科及び心療内科の診療にあたったのち、早稲田大学生命医療工学研究所客員准教授等の研究職を経て、現在は嘱託産業医として勤務。料理・野菜・栄養学への関心が高く、日本野菜ソムリエ協会認定・野菜ソムリエの資格を取得。

  • Facebookでシェア
  • tweetする
  • はてブに追加

この記事を見た人にオススメ